普段仕事をしていると、お客様から「理容と美容はどこが違うの?」なんて質問をいただく事があります。

理容師も美容師も、お客様の髪形を整えるという意味ではどちらも同じように見えますが、実は法的には明確に分けられているのです。

ただし「法的には」ですが・・・。

今回は、そんな理容と美容、それぞれの違いについて「なぜ分かれているのか?」「どこが違うのか?」について皆様に解説をいたします。

理容師のイメージ

理容師というと、皆様は上の画像のようなイメージをお持ちではないでしょうか?

シェービング(お顔そり)や刈り上げといった、少し古くて硬い印象ですよね。

まさに町の床屋さんのイメージそのものです。

美容師のイメージ

一方、美容師のイメージはこの画像のような感じですよね。

おしゃれな店内で、女性がパーマやブローをしてもらっているといったところでしょうか?

では、実際の所はどうかと言うと、理容と美容は法的にはしっかりと分けられていますが、実際の所はほとんど同じです。

理容師には理容師法、美容師には美容師法とそれぞれ違う法律が定められているのですが、時代の変化に伴って最近ではどちらも変更が加えられています。

もともとは、理容師はパーマやヘアカラーを施術する事は許されていませんでした。そして女性へのサービスの提供も許されていませんでした。

そして美容師は、カットを含むシェービング(お顔そり)等の刃物を使用する施術は一切認められていませんでした。当然ながらカットも認められていないので男性へのサービスの提供もできませんでした。

現在では、理容師と美容師それぞれの施術が可能なサービスの制限が緩和されてきて男性が美容師を利用しますし、女性も理容室を利用するようになりました。

ただし、シェービング(お顔そり)だけは安全面の確保と、専門的な技術を要することから、現在でも美容師が施術をする事は許されていません。

理美容専門学校の外観

この画像は、当社のスタッフが卒業した名古屋市内の専門学校です。

昔は理容学校でしたが、現在では理美容専門学校となって、理容師を志望の若者も美容師を志望の若者も通っています。中には両方の資格を取る若者もいます。

私も理容師と美容師、両方の資格を持っているのですが、昔は理容学校と美容学校の両方に通わないといけませんでした。

 

理容師美容師の免許証

これは私が所有する国家資格の免許証です。左上が理容師の免許証で右下が美容師の免許証です。

ここまでくると、そもそも「なぜ理容師と美容師の免許を分けるのか?」と疑問がでてきますよね?

その答えは理美容の歴史にあります。

理容師免許は昭和23年に理容師法の施行に伴い誕生しました。理容師法の目的は理容所においての十分な衛生管理と、そこで働く理容師の公衆衛生や伝染病学などの周知徹底が中心です。

当時はまだ、ノミやシラミを宿した人も多く、結核等も治りにくい病気と言われた時代でした。刃物を使用したり洗髪を行う理容所を介して伝染病などが世間に広まるといけないという事です。

この時点では、まだ美容師法(美容師免許)は存在していませんでした。なぜなら美容室は「髪結い屋さん」という立ち位置だったからです。

その後美容室でも洗髪をするようになり9年後の昭和32年に美容師法(美容師免許)が誕生しました。しかしこの当時はまだ、美容室は「髪結い屋さん」の延長と定義されていたのでカットをするためのハサミやシェービング(お顔そり)をするためのカミソリといった刃物を使用する事は許されていませんでした。

当然この当時は男性が理容室でパーマやヘアカラーをする事も少なかったので、理容師法では理容師がパーマやヘアカラーを施術する事は想定されてなかったので、理容師免許ではパーマやヘアカラーの施術は定義されていませんでした。

その延長で、理容師法と美容師法は大きく改正されることなく現在に至っています。

だから厳密に言うと、現在(2017年時点)の法律では、

理容室で施術が許されるのは男性のカットとシェービング、パーマ、ヘアカラー。女性に対してはカットだけ。(女性にヘアカラーやパーマを施術する事は違反ということです)

美容室で施術が許されるのは女性のパーマ、とヘアカラーとカット。男性に対してはパーマかヘアカラーだけ(男性にカットだけをする事は違反という事です)

ちょっと今の時代の感覚とずれていますよね?

でもしょうがないのです。法律は、なかなか改正されないものなので。

レッスンをする当社のスタッフ

これは、当店のスタッフが、レッスンをしている様子ですが、女性のカットをしています。現在では理容も美容もお客様の性別や、提供するサービスの垣根が無くなってきました。

多くの理美容業従事者は理容と美容の垣根を無くして欲しいと願っています。しかし一部の関係者の中にはそれを望まない方もいると聞きます。

もちろん私は、そんな古い垣根は取り払ってほしいと願う一人ですが、いつの日か理容師も美容師もお互いが同じ土俵で技術やサービスを切磋琢磨できる日が来ることを願います。