理容師と美容師に必要な国家資格について詳しく解説します。
今回は、理美容師に必要な免許と、その取得方法についてお話ししたいと思います。
この画像は、私が所有する理容師と美容師の免許証ですが、これらは国家資格なのです。
私たちの免許証は、自動車の免許証と違って大きな表彰状のような形をしています。
この業界で働く人は、免許証を店内の客が見えるところに展示しなければいけないと法律で決められています。
上の画像の、向かって右側の黄色い枠の免許証は美容師免許証で、左側の青い枠の免許証は理容師免許証です。
どとらの免許証も、各都道府県の自治体が交付します。
今回は、そんな理容師と美容師が国家資格を取得するまでの道のりについて、くわしく解説したいと思います。
まず、国家試験を受けるための資格についての説明をします。
この業界で働くための国家資格を取得するためには、理容師か美容師になるための国家試験を受験しなくてはいけません。
しかし、誰でも簡単に国家試験を受験できるというわけではありません。
国が認可した養成施設を卒業した人だけに、受験資格が与えられます。
この養成施設とは、理容専門学校と美容専門学校です。
基本的に専門学校に入学するためには、高校を卒業していないといけません。
最近では、理容師を目指す者と美容師を目指す者の両方が通う事ができる「理美容専門学校」という要請施設もあります。
専門学校の普通学科の生徒は4月に入学します。
専門学校の生徒は、2年間で合計で約800時間の授業を受ける必要があります。
通学に必要な学費は、2年間で約180~200万円が必要です。
先程、基本的にと申し上げましたが、中学しか卒業していない人でも理容師や美容師を目指す方法もあります。
理美容専門学校は、中学卒の人や経済的に学費を捻出する事が困難な人のために、サロンで働きながら通学できるように通信課程というシステムも設けています。
ただし中学卒の人が専門学校の通信課程に入学するためには、特別な入学試験を受けなければいけません。
入学試験は簡単な学科試験と面接試験です。
Caratのスタッフの中にはこの試験を受けた人がいますが、それほど難しい試験ではありません。
通信課程の学費は普通学科に比べるとかなり安くなります。
普通学科の学生に比べると通学する期間は1年長くなりますが、学費は3年間の合計で約100万円です。
通信課程の学生は「働きながら資格を取る」というのが前提なので、自分で学費を賄っている若者も多いです。
通信課程の学生は、お店が休みの日である月曜か火曜に授業を受けます。
この業界は月曜と火曜が定休日なので、授業がない日は店で働くことができますが、普段は、仕事が終わった後に毎月郵送される教材を使って勉強をします。
また通信課程の学生は、授業日数は約300時間に短縮されます。
なぜなら、実技はサロンで習得しているからです。
多くの専門学校では、通信課程の入学式は10月です。
専門学校ではどんな勉強をするのか?
この画像は、専門学校で使われている教科書です。
基本的には、普通学科の生徒も通信課程の生徒も同じ教科書を使います。
教科は
- 数学
- 理科
- 社会
- 保健
- 理容理論(理容師)美容理論(美容師)
が基本です。
それ以外に、この業界に必要な知識を勉強する科目があります。
例えば、理美容の歴史や技術理論や伝染病、公衆衛生に関する科目があります。
普通学科なら2年間、通信課程なら3年間の通学が終わると最後に卒業試験があります。
専門学校を卒業してから、国家試験の受験までの道のり。
卒業試験に合格すると専門学校を卒業することになり、その年のうちに学科試験を受験します。
学科試験は「公益法人理容師美容師試験研修センター」が管轄しています。
学科試験は約8科目の教科から出題され、合格するためには100点満点中60点を取らなくてはいけません。
当然ですが、学科試験はどの教科でも0点があると不合格になります。
そして学科試験が終わると、合格発表を待たずに実地試験を受験します。
この画像は、理容師の実地試験の様子です。
試験の内容は、ウィッグ(マネキン)を使用したカットとシェービングです。
技術の仕上がりについてはそれほど厳しくチェックされることはありませんが、技術をする時の姿勢や順番と衛生管理がしっかりとできているかが重点的にチェックされます。
そしてこちらは、美容師の実地試験の様子です。
試験の内容は、ワインディング(パーマを巻く技術)とヘアローションを使ったヘアセットです。
美容師の試験も、技術の仕上がりに関してはそれほど厳しくチェックをされることはありませんが、技術の順番や衛生管理に関してはしっかりとチェックされます。
理容師も美容師も、国家資格はテクニカルライセンス(技術的な免許)というよりも、衛生管理の責任者といった色合いが濃い資格なのです。
なぜなら、この国家資格の管轄は厚生労働省だからです。
両方の試験を受験すると合格発表が出るのですが、学科と実地の両方が合格しないと免許は取得できません。
ただし学科試験か実地試験のどちらかが合格していれば、1年以内に一度だけ不合格の方を再受験することができます。
再受験に合格すれば免許を取得できます。
また、学科試験も実地試験も年に2回行われます。
万が一再受験も不合格だった場合でも、専門学校さえ卒業していれば何回でもチャレンジができます。
最後に
みなさま、理容師と美容師の国家取得までの道のりを理解していただけましたでしょうか?
この業界の若者は、見た目は楽しそうに働いているように見えますが実際は地道な努力を積み重ねてスタイリストを目指しているのです。
この業界を愛する自分としては、もっと若い人が理美容師を目指してくれて業界が発展する事を願っています。