カットをしている様子

この画像は私がカットをしている様子ですが、以前はこのカットで使用する理美容師が使うハサミについて解説いたしましたが、今回はコーム(くし)についてお話をしようと思います。

ハサミについては、興味を持たれるお客様も多く「いくらするのか」と聞かれることが多いのですが、コームはどちらかというと陰の存在になってしまいます。

しかし、僕たちにとってこのコームも実に奥が深い道具なのです。

今回はそんな、理容師や美容師が使うコーム(くし)についての面白い話をお伝えしたいと思います。

理容師も美容師も使用するカットコーム

このコームは、冒頭の写真で僕が使用していたコームで、カットコームと言います。

このコームは理容師も美容師も共通で使用する物で、カットをする際に使用する最も基本的なコームです。材質はほとんどが樹脂製で、300円~1000円程度と安く購入する事ができます。

美容師の場合は、このカットコームで刈り上げもする事が多いのですが、理容師は刈り上げをする時には、特別なコームを使用します。

 

理容師が刈り上げをしている様子

この画像は、当店のスタッフが刈り上げをしている様子ですが、理容師の場合は緻密なカットを要求される場合が多いので、使用するコームも用途に応じてコームの使い分けをします。

理容師が刈り上げで使用するコーム

これは理容師が刈り上げの時に使用するコームで、刈り込み櫛といいます。

先ほどの刈り上げをしている写真で使用しているコームです。

コームのギザギザの部分を歯と言うのですが、刈り込み櫛は歯の形状によって角度櫛、直角櫛と細かく名称が変わります。上の画像の櫛は歯に角度がついた形状になっているので角度櫛です。

また、刈り込み櫛は、用途に応じて大きさが違います。

  • 大荒櫛(一番大きな櫛です。一番最初に刈り上げの輪郭を作るときに使用します)
  • 中荒櫛(中程度の大きさの櫛です。刈り上げの表面を整えるときに使用します)
  • 小荒櫛(一番小さい櫛です。刈り上げの色彩を整えたり、細やかな場所の調整に使用します)

上の画像に写っているのは、大荒櫛と小荒櫛です。

これら刈り込み櫛は、素材に応じて価格が大きく違ってきます。樹脂製の安価な物は1丁(理容師は櫛の単位をこう呼びます)当たり1000円程度で購入できるのですが、ほとんどの理容師は角製(水牛の角)やベーク(新素材のタイプ)を使用します。

水牛の角製のコーム

これは、角製の刈り込み櫛です。印鑑と同じで水牛の角を加工して作られてます。こういうタイプのコームは1丁7~8000円ほどしますが、角製のコームを使用している理容師は非常に多いです。樹脂製の物よりも櫛通りが良いわりに安いので人気があります。

べっ甲製のコーム

これはべっ甲製のコームです。原料となるアカウミガメはワシントン条約で取引が禁止になっているうえに、絶滅危惧種に指定されているため、入手が困難なのでとても高価です。

画像のコームにも5万円の値札が貼ってあります。

現在ではべっ甲製のコームを使用する理容師は少なくなりました。僕も資源保護の観点から考えて購入すべきではないと思います。

この他に、最近では3~4000円で購入できるベーク材と呼ばれる素材のコームも人気がありますが、いずれにしても理容師は美容師よりもコームにこだわりを持つ人が多いです。

刈り込み櫛がなぜこんなに高価な理由は、樹脂製の物を除いてほとんどが職人による手作りだからです。

理容業は職人(理容師)が職人(櫛作り職人)の作った道具を使用して仕事をしているという事なのですね。