町の床屋さんから、おしゃれな理容室への変貌を解説します。

昔のアメリカの風景

今回は、僕が愛してやまない理容室が変化しているというお話をしたいと思います。

 

この画像は、かなり昔のニューヨークの駅前の風景です。

床屋さんを象徴するサインポールが目立ちますね。

理容室や床屋さんを、英語ではBarberと表記します。

最近は「バーバースタイル」という言葉も流行っているので皆様には馴染がありますよね。

その昔、日本では理容室は町の床屋さんという存在でした。

そして床屋は、近所の男性が集る「社交の場」でした。

しかし最近では、概念が少しずつ変化しています。

今回は、そんな理容室の歴史と、現在はおしゃれなメンズサロンへと変貌している様子を伝えたいと思います。

まずは、西洋の理容室の昔と今について解説します。

 

昔の欧米の理容室

この画像は、先程のようなアメリカの古い時代の理容室の店内です。

木製の家具が置いてありますし、バーバーチェア(理容椅子)が重厚な印象を与えますね。

とても高級な雰囲気が漂う贅沢な空間が想像できます。

その昔の欧米では、貴族階級の男性は髪やひげの手入れなどを職人を自宅に呼んでケアをさせていました。

髪やヒゲのケアを人にやってもらうことは、特権階級の人だけに許された贅沢なことだったのです。

そんな行為が徐々に大衆化していき、サービスとして誰でも店舗で受けられるようになったのが理容店の始まりです。

だから理容サービスというのは、本来は非常に贅沢なものだったのです。

そんなぜいたくな雰囲気がお店に残っていた時代が、上の写真という訳です。

 

年代物の理容椅子

これは、理容サービスが贅沢だった時代のバーバーチェアの画像です。

このバーバーチェアは、現在のものと比べると少々コンパクトですが、細部にまで細工を施した金属の部品やシートには本革が使ってあり、とても豪華な逸品です。

足元には、足をのばして寝ることができるようにオットマンまで装備されています。

当時この椅子に座る事ができた客は、裕福な立場の人だったと思います。

この時代の「古き良きBarber」のイメージが僕は大好きです。

 

アメリカの理容師がカットをする様子この画像は、現在のアメリカのBarberで男性客がサービスを受けている様子です。

男性は短い髪形が多いので、どうしてもヘアスタイルのバリエーションが少なくなってしまいます。

個性を重視する欧米の男性は、ヒゲや髪の色で自分の個性を演出することが好きです。

近年の欧米の理容室は、そういった個性の強い男性の受け皿となっているようです。

上の画像のスタイリストは、ひげを生やしていてタトゥーを施しています。

とてもおしゃれなスタイリストです。

また、サービスを受けている男性客も個性的なヒゲをたくわえています。

僕は、このような最近のアメリカのBarberも大好きです。

 

アメリカの個性的な理容室の画像この画像のサロンは、先程の店よりも大衆的な店舗のようですが、壁一面に個性的なポスターが飾ってあります。

とてもカジュアルでクールなお店ですね。

スタイリストの男性はバリカンを使ってカットをしていますが、日本人の目から見ると大ざっぱなカットをしています。

しかし、この写真に写っているスタイリストも男性客も何故だかかっこ良く見えます。

きっとアメリカ人の持つ個性的な性格が、サロンの雰囲気に現れているせいでしょうか?

 

ところで日本の場合は、理容の歴史がアメリカとは少し違います。

その昔、日本では理容室のことを「床屋」と呼んでいましたが、床屋は、おしゃれを楽しむ場所というよりも、公衆衛生を保つための場所でした。

なぜかと言うと、戦後間もない日本は貧しく、大衆はおしゃれを楽しむ余裕がありませんでした。

またその時代は、社会的にも衛生管理が行き届いておらず、髪にノミやシラミを保有する人も多く伝染病の流行も深刻でした。

床屋さんは伸びた髪を短く切ってもらう所であり、汚れた顔や頭をきれいにしてもらう場所だったのです。

 

Caratのサインポールの画像これは、理容室のシンボルであるサインポールの画像です。

これは僕の店のサインポールなのですが、サインポールに使われている赤と青と白の3色は、理容サービスの原点が医療行為だった頃の名残といわれています。

サインポールのイメージからーである「赤と白と青」は、赤色が動脈、白色は包帯、青色は静脈を表します。

日本の理容室の文化は、衛生管理や医療行為の影響を大きく受けていると思われます。

アメリカと日本では歴史が違うのです。

だから日本では「床屋は、髪が伸びたので切りに行く所」のイメージが強いのだと思います。

ここ最近は、日本の理容室も欧米の影響を受けておしゃれなサロンが増えてきていますが、「理容室はダサい」とか「古い」というイメージが根強く残るのはそのためです。

しかしここ数年で、イメージが変わってきました。

 

理容室をテーマにした雑誌

この画像は、日本と海外の店舗を紹介する雑誌です。

この雑誌は好評なようで、既に3シリーズも出版されています。

現在の日本では、低料金の店とおしゃれを重視した高級店の二極化が進んでいます。

私たちが住む名古屋でも、雰囲気の良いおしゃれな店が増えてきています。

 

月刊誌の「ゲーテ」

この画像は、男性向けの月刊誌の「ゲーテ」のおしゃれな理容室の特集です。

最近注目されているサロンには共通の特徴があります。

まず注目されているサロンは高級な店であるという事です。

要するに、値段は高くても品質の高いサービスを求める顧客を対象にしている店ということです。

 

月刊誌の「ライトニング」

こちらの画像は、男性向けの月刊誌の「ライトニング」の理容室を特集したページですが、この雑誌で紹介されている店も全てが高級サロンです。

そしてもう一つ、流行している店に共通した特徴があります。

それは、男性向けの付加価値のメニューが充実しているという事です。

最近では、エステやヘッドスパ、メンズネイルなどの特殊なサービスを楽しむ男性が増えてきました。

そんな顧客の要求に応える事ができるサロンが増えてきているという事です。

よく考えてみれば、現在脚光を浴びているサロンは昔のアメリカのBarberと似ています。

良い理容室とは、おしゃれを本当に楽しみたい男性や高品質なサービスを求める男性のための場所であるべきです。

 

Caratの店内

ということで、私が思う事。

 

Caratも、私が16年前に高級な理容室を作りたくて開店した店です。

だから今でも、近所の同業者よりも値段を高く設定しています。

私は理容師と美容師の両方の国家資格を持っているのですが、どちらかというと理容師の仕事の方が好きです。

僕がCaratを出店したころは、「床屋はダサイ」なんて言われた事もありましたが、最近は美容室に飽きてしまった男性が多く来店します。

しかし、それは当然です。

男性のサービスに関しては、私たちには伝統と歴史があります。

おしゃれな理容室がもっと増えて、この業界を目指す若者が増える事を心から願っています。