以前に、Caratのホームページで、トリートメントと、リンス、コンディショナーの違いを、皆様にお伝えしましたが、今回は、理容師、美容師の目線からシャンプーの選び方と、上手なシャンプーのやりかたについて、くわしく解説します。
シャンプーの種類や選び方については、すでに情報をお持ちの方も多いかと思いますが、実はシャンプーというのは、自分に合った商品の選ぶことよりも、正しいシャンプーの方法を知る事の方が重要です。
シャンプー剤の選び方については、いろいろなサイトで紹介をされていますが、正しいシャンプーのやり方は、あまり見かけることがありません。
こちらでは、最も重要な「正しいシャンプーのやり方」についても、皆様にお伝えしたいと思います。
まずは基礎知識として、シャンプー剤の種類についてお伝えします。
シャンプー剤には、大きく分けて3種類の商品があります。
その3種類とは
- 高級アルコール系シャンプー
- 石鹸系シャンプー
- アミノ酸系のシャンプー
この3種類のシャンプーについて、くわしく解説すると
1の、高級アルコール系のシャンプーです。
ここでは、分かりやすくお酒の画像を表示しましたが、当然これはイメージですから、お酒のシャンプーでは、ありません(笑)
一般的に、市場に出回っているシャンプー剤のほとんどが、この高級アルコール系シャンプーです。
高級アルコールと聞くと、とても高級なシャンプーのような気がしますが、高級アルコールシャンプーは、低価格で販売されているシャンプーです。
実は、高級アルコールの高級というのは、高価格という意味ではありません。
シャンプーの原料として使用しているアルコールの、炭素の数が多いという意味です。
ここでいうアルコールは、洗剤などでよく使用されている界面活性剤を多く含むものが多く、油性の性質を持っているので、泡立ちが非常に良くて洗浄力が強いという性質を持っています。
シリコン入りシャンプーとか、ノンシリコンといった表記が入っているシャンプーは、ほとんどが、高級アルコールシャンプーの部類に入ります
石油由来の素材で作られているシャンプーなので、「化学薬品系の洗剤のようなもの」と考えていただければ良いかと思います。
長所は
- 比較的安価で購入できること
- 泡立ちが良く、洗浄力に優れていること
- シリコンなどの配合がしやすいので、洗い上がりの髪がつややかにさせることができること
- 香りが良い商品が多い
短所は
- 洗浄力が強いので、乾燥肌の人には合わない
- 敏感肌の方には、刺激が強い場合がある
- シリコン入りのシャンプーの場合は、頭皮の毛穴をふさいでしまう場合がある
ということです。見分け方は、成分表示を見ると、ラウリル、ラウレス、ラウレスという表現が入ったものが入っています。
2の石鹸系シャンプーは、呼び名の通りで、石鹸の成分を使用して作られたシャンプーです。
1の高級アルコール系シャンプーよりも、やや高価格で販売されているシャンプーです。
石鹸というのは、動物性の油脂や、脂肪酸を苛性ソーダなどを利用して反応させて作られた洗浄剤です。
皆様も、石鹸は、お風呂やシャワーで体を洗う時に使用しているので、おなじみですよね!
この石鹸系シャンプーの性質は、天然成分の素材を使用して作られているので、高級アルコール系のシャンプーよりも、安全性が高いということです。
その上、洗浄力も、そこそこに高いです。
ただ、石鹸系のシャンプーは、一般的に「天然由来」を売りにした物が多いので、化学薬品系の添加物を使用できない場合が多いので、洗い上がりの髪の保湿成分や、香料などの使用が制限される場合が多いです。
もし、石鹸で洗顔をすると、お肌がつっぱったりしますよね?
お顔が、つっぱってしまったら、改善するために、化粧水や美容液が必要になってきます。
この、お肌のつっぱりと、同じことが頭皮にも起きているということです。
それともう一つ。
石鹸はアルカリ性なので、石鹸系シャンプーも当然アルカリ性です。
しかし、人間の体は弱酸性です。
ですから、石油由来の高級アルコール系のシャンプーよりは、肌に優しいとはいうものの、敏感肌の方の中には、石鹸系のシャンプーも合わないという方もいます。
ということで、石鹸系のシャンプーの長所は
- 天然素材を使用しているので、安全性が高い
- 洗浄力も高い
- 比較的、安価で購入ができる
- 天然由来の商品なので、環境にも優しい
短所は
- 頭皮が、つっぱる場合がある
- 香りや、洗い上がりの髪のつややかさはあまり期待できない
- アルカリ性なので、酸性のリンスを使用する必要がある。
ということです。
見分け方は、成分表示に、脂肪酸という表記がある場合が多いです。
その上、ほとんどの場合は、石鹸由来と商品名に記されています。
次は、3のアミノ酸系のシャンプーです。
美容院などですすめられる高額なシャンプーや、ドラッグストアでも2000円以上で販売されているようなシャンプーがこの部類に入ります。
いわゆる高級なシャンプーで、中には5~6000円もする商品もあります。
シャンプーに、こだわりを持つ人の間では、最近は流行しています。
アミの系シャンプーは、人間の組成成分であるアミノ酸を主成分にしたシャンプーで、頭皮や髪に優しいといわれるシャンプーですが、価格の差は使用されているアミノ酸の量によって違ってきます。
シャンプー剤というのは、中身は、ほとんどが水です。
ほんの一部が、洗浄成分として、高級アルコールや石鹸成分やアミノ酸の成分が添加されている訳なのですが、アミノ酸シャンプーの弱点は、洗浄力が弱いという事なので、アミノ酸の成分が少ないシャンプーの場合は、本当に汚れ落ちが良くないです。
髪や地肌に優しいといっても、洗浄力が弱すぎてしまったらシャンプーの意味がありません。
ですから、もしアミノ酸系のシャンプーを購入する場合は、ケチらずに高価格の商品を買う必要があります。
アミノ系シャンプーの長所は
- 頭皮への刺激が少ない
- 髪のダメージの進行が進みにくい
短所は
- 高価格である
- 洗浄力が低い
見分け方は、成分表に、ココイルとかラウロイル、オレフィンという表示がある場合が多いです。
3種類のシャンプー剤について、どれもそれぞれの性質があり、一長一短なのがお分かりいただけましたか?
「それでは、どのシャンプーを使えばいいのか?」と思いますよね?
あくまでも、僕の理容師、美容師としての考えなのですが、
よほどお金に余裕がある人や、頭皮がひどく荒れていたり、アレルギーや敏感肌の方はアミノ酸系のシャンプーを使用していただいても結構だと思います。
しかし、高級アルコール系や石鹸系のシャンプーを使用していても頭皮が荒れたりしないのであれば、わざわざ、高いシャンプーを買う必要はないと思います。
洗い上がりの髪を、しっとりとさせたり、つややかにしたいのであれば、シャンプーの後に、トリートメントを使用すれば、それで十分です。
その方が安上がりです。
シャンプーを選択する上で、一番考えなければいけないのは、髪の事よりも頭皮の事です。
髪の傷みは、そもそも、パーマやヘアカラーやブローをする時に、痛ませないように注意をする事の方が重要です。
シャンプーを日本語では洗髪と表記しますが、この洗髪という表記で勘違いしてしまいがちですが、シャンプーは髪を洗う事よりも、頭皮を洗浄する事の方が大切です。
そもそもは、頭の汚れや、においの大部分は、頭皮に蓄積された皮脂や汗などが酸化して発生しています。
頭皮が荒れてしまっている場合も、その原因は酸化した皮脂や汗から発生した細菌が原因です。
髪の汚れの大部分は、チリ、ホコリや整髪料です。
効果的に頭皮の汚れを落とすような、シャンプーの技術を実践する方が大切です。
よほど安いシャンプー剤を選択しない限り、人体に悪い影響を及ぼすような商品を販売するメーカーはないと思うので、できるだけ安価な商品を使用して正しいシャンプーの方法をする方が良いと思います。
次に、ご紹介をするのは、正しいシャンプーの方法です。
上の画像は、お湯で、髪をゆすいでいる様子ですが、この作業をリンシングといいます。
皆さんも、お風呂でシャンプーをする前にリンシングをするかと思いますが、リンシングは髪を濡らすことだけが目的ではありません。
実は、リンシングは、髪の毛の汚れを落とすことが目的なのです。
頭皮の皮脂や汗の汚れは、シャンプー剤を使用しないと除去はできませんが、髪についた整髪料やホコリやチリの汚れは、しっかりとリンシングをすることで、80%落とすことが、できるのです。
しっかりとリンシングをすることで、この後に使用するシャンプー剤の使用料を、大幅に減らす事ができます。
使用するシャンプーを少なくするということは、頭皮に対するダメージを減らす事ができる上に経済的にも良くなります。
だから、リンシングは、髪の毛の汚れを、しっかりと洗い流すつもりで、行うことが大切です。
リンシングをしっかりとしたら、次はシャンプーに入りますが、シャンプーは必ず2回やる事が大切です。
シャンプーを、一回で済ましてしまっている方は多いと思いますが、それはNGです。
一回目ののシャンプーの事をプレシャンプーといいます。
髪や地肌の汚れが多い時や、髪が長い人の場合は、プレシャンプーの時には泡立ちが悪いこともあります。
しかし、泡立ちが悪いからといって、シャンプーを多く使用してはいけません。
プレシャンプーに使用するシャンプーは、ポンプ式のシャンプーの場合だと最大2プッシュまでです。
汚れが多いからといって、たくさんのシャンプー剤を使用しても、汚れを効率的に落とすことはできません。
経済的にも無駄ですし、薬剤を多く使用することは頭皮や髪にダメージを与えるだけです。
一度に使用するシャンプー剤は上の画像の様な量で十分です。
シャンプー剤を塗布したら、シャンプーをしていきます。
プレシャンプーは、上の画像の様には泡立たないかもしれませんが、それで良いです。
プレシャンプーで汚れを落としたいのは、頭皮ではなく、リンシングで落としきれなかった髪の汚れです。
髪の毛のみを、手でもむように洗うことが、プレシャンプーのコツです。
プレシャンプーでは頭皮をゴシゴシと掻く必要はありません。
泡立ちが良くない状況でゴシゴシとシャンプーをすることは、髪を摩擦で痛めてしまいます。
プレシャンプーで、髪を全体的にもみ洗いをしたら、再びリンシングです。
しっかりとシャンプーを流してください。
2度目のリンシングが終わったら、今度は、2回目のシャンプーをします。
2回目のシャンプーが、シャンプーの本番と考えてください。
使用するシャンプーの量は、ポンプ式のものであれば、ワンプッシュで十分です。
2回目のシャンプーの目的は髪ではなく頭皮の皮脂や汗を洗浄することです。
プレシャンプーの時に泡立ちがイマイチだったとしても、この2回目のシャンプーではしっかり泡立つはずです。
その泡が、ちゃんと髪にも行き渡るので、2回目のシャンプーをすることによって頭皮も髪もきれいに洗浄できます。
ここでシャンプーをする時に気をつけることがあります。
必要以上に、頭皮をゴシゴシと掻かないことです。
理容室や美容室でシャンプーをする時は、お客様に気持ちが良いと感じていただくために、しっかりとゴシゴシします。
しかし、それを、毎日することは、NGです!!
1~2カ月に一度のサロンのシャンプーなら、ゴシゴシしても良いのですが、毎日のシャンプーでは、ゴシゴシやってはいけません(特に頭皮の弱い方)。
シャンプー剤の選び方よりも、シャンプーの方法の方が、大切なのは、ここです。
試しに、頭皮をゴシゴシするのと同じように、腕やおなかをゴシゴシした場合を想像してみてください。
気持ちは良いかもしれません。でもゴシゴシと掻いた後、肌が赤くなってしまいますよね?
頭皮を洗う時に、掻きむしってはいけません。
実は、これが、頭皮を荒れさせてしまう原因の一つです。
頭皮は、髪の毛の下で保護をされている皮膚なので、顔の皮膚よりも繊細なのです。
頭皮は固いので、丈夫そうに感じますが、頭皮が硬いのではありません。
頭皮の下に頭蓋骨があるので、硬く感じるだけで、実はとても薄い組織なのです。
上の画像で、分かりやすく示してみましたが、指の腹の部分を使用して、円を描くように頭皮をマッサージするように洗うのが、本当の正しいシャンプーの方法です。
洗顔をする時と同じと理解していただければ良いです。
ちょっと物足りないかと思いうかもしれませんが、頭皮が敏感だったり、頭皮が荒れている方の場合はこのようなシャンプーの方法をするのが、最も最適なのです。
髪への摩擦も、ほとんどありません。
シャンプーの素材にこだわって、高価格な商品を購入しても、頭皮をゴシゴシ掻くようなシャンプーをしたり、髪に摩擦がかかるような激しいシャンプーをしている限り、そのシャンプーの持つ性能を発揮する事はできません。
それよりも、経済的に無理のない範囲のシャンプー剤を購入して、正しいシャンプー方をする方が得策です。
どうぞ皆様、経済的に無理のないシャンプー剤の選択と、正しいシャンプーの方法を実行して良いヘアケアライフをおくってください。